内在筋の大きさ
●母趾外転筋と母趾内転筋斜走は、他の内在筋に比べて断面積が大きい
●短趾屈筋・小趾外転筋も比較的大きい
●虫様筋の生理的断面積は比較的小さい
Quantitative analysis of the intrinsic muscles of the foot)H Kura 1997

足部内在筋の機能
●縦アーチを支持している
●荷重が大きくなると内在筋の動員数が増える
●一定の負荷までは足底腱膜と同様に伸張する
Intrinsic foot muscles have the capacity to control deformation of the longitudinal arch)Luke A Kelly 2014
足底内在筋が硬すぎて伸張されないと衝撃吸収機能が低下します。逆に柔らかすぎると足部の剛性が生み出せず推進力が低下します。柔軟かつ硬くできる特性が必要です
タオルギャザーとショートフットエクササイズ(SFE)において内在筋活動量の違い
内在筋の筋活動 SFE>タオルギャザー
A comparison in the muscle activity of the abductor hallucis and the medial longitudinal arch angle during toe curl and short foot exercises)Do-Young Jung 2010


アーチの支持で言えばSFEを選択することをおすすめしますがどちらがいいというわけではなくどちらも大事です。タオルギャザーで外在筋を強化することで足趾MTP関節の剛性を生み出しやすく推進力が高まります。
足底内在筋は負荷量によって優位に働く筋が変わる
負荷量少 短指屈筋
足底方形筋
負荷量大 母趾外転筋
※体重が100%乗っている場合は母趾外転筋が優位に働く
Intrinsic foot muscles have the capacity to control deformation of the longitudinal arch)Luke A Kelly 2014
エコーで確認することでどの部位が萎縮しているかわかるので優先的に強化したいですね
足底腱膜の解剖
●足底腱膜はアキレス腱と連続している
●アキレス腱のストレッチで足底痛が緩和する根拠となる
On the morphological relations of the Achilles tendon and plantar fascia via the calcaneus: a cadaveric study)A Singh 2021
足底腱膜炎に対してアキレス腱のエキセントリックエクササイズはエビデンスレベルがかなり高いです。その理由が上記のことなので行うようにしましょう
足底腱膜の機能
・衝撃吸収
・推進時に縦アーチを安定させる
・中足骨頭への床反力軽減
・固有感覚受容と末梢運動の協調に関わる
アキレス腱と足底腱膜の関係性
アキレス腱障害の足底腱膜はアキレス腱の変性徴候がない人と比べ優位に厚みが増す
Plantar fascia anatomy and its relationship with Achilles tendon and
paratenon)Carla Stecco 2013
足底腱膜への負荷が高い人の特徴
●体重増加
●扁平足
●足関節背屈可動域低下
●足部背屈・外転筋力低下
Potential for foot dysfunction and plantar fasciitis according to the shape of the foot arch in young adults)Se-Yeon Park 2018
足底腱膜炎について
●足底腱膜炎患者の足底腱膜は平均4.8mmであった
●回内足は足底腱膜炎が生じやすい
●有病率は人口の約10%
Ultrasonographic evaluation in plantar fasciitis)Nuri Karabay 2007
Potential for foot dysfunction and plantar fasciitis according to the shape of the foot arch in young adults)Se-Yeon Park 2018
足底腱膜炎の症状
●朝の一歩目の痛み
●休息したあとの歩行時痛
●足底腱膜付着部(踵)の痛み
Evaluation and Treatment of Chronic Plantar Fasciitis)L Daniel Latt 2020
小趾外転筋が萎縮している人は足底腱膜炎になる可能性が高い
※上画像が正常な小趾外転筋,下画像は脂肪変性(萎縮)した小趾外転筋
Plantar fasciitis and calcaneal spur formation are associated with abductor digiti minimi atrophy on MRI of the foot)Usha Chundru 2008
内外側アーチの役割
●内側縦アーチは前後方向の安定性
●外側縦アーチは左右方向および全方向への安定性
The Relationship Between Foot Feature Parameters and Postural Stability in Healthy Subjects)Kyung-Ryoul Mun 2019
内側縦アーチにばかり目が行きがちですが外側縦アーチの役割も大事であることがわかります。
足部疾患の方はだいたい小趾外転できないので僕はハイボルトでガシガシ収縮を入れます
全員ではないですが介入後,随意的に小趾外転できる人が多いです
踵骨下脂肪体における機能低下の要因
●加齢
●怪我
●反復的または長期にわたる過負荷
(ランナーやジャンプ競技)
●肥満
●不適切な履物
●合併症(DM,RAなど)
What do we actually know about a common cause of plantar heel pain? A scoping review of heel fat pad syndrome)Alison H Chang 2022
踵骨下脂肪体の加齢による組織変化
●脂肪組織を覆う隔壁内のコラーゲン繊維
弾性繊維構造・水分含有量が加齢とともに減少する
●同時に脂肪含有量が減少し弾性線維が厚く固くなる
結果 衝撃吸収機能が低下する
Changes in functional characteristics of heel fat pad with age)Toshihiro Maemichi 2024
距骨下関節の解剖
●足関節の内外反はほとんど距骨下関節で行われる
●距骨と三面の一軸関節を形成している
●関節面が複数あり多方向の動きを可能としている
距腿関節(脛距骨関節)の解剖
●距骨前方が広く背屈位で最も安定する
●関節の形状だけで外反を制限することができる
●外反以外は軟部組織構造によって安定性を保つ
●足関節複合体(足関節)の回転軸は
矢状面で内果・外果を通る線の周囲に生じる
●冠状面ではくるぶしと脛骨の長軸の交点で生じる
●横断面では足の正中線と交差する脛骨の
長軸周囲に生じる
Biomechanics of the ankle)Claire L Brockett 2016
小児の副舟状骨(外脛骨)
●外脛骨は舟状骨結節の発達途中によるもの
●外脛骨があることで後脛骨筋の付着部の位置が変わるため後脛骨筋機能不全や屈曲性扁平足になることがある
●外脛骨の骨化は女性で9歳,男性で12歳で始まる
→骨化が進めば痛みが取れることも多い
外脛骨の痛みの原因
●後脛骨筋腱炎
●関節軟骨損傷
●靭帯弛緩
●骨隆起による滑液包炎
●扁平足など足部の生体力学的変化
※私見 炎症性のものなのかアライメントによる力学的ストレスなのかでアプローチを変える必要がある。前者であれば投薬や超音波などの物理刺激。後者であればインソールや筋機能改善
Accessory navicular in children)Feng Xiang 2023
内在・外在筋の中で(母趾内転筋斜頭)が主に足趾屈曲に働く
※私見 足趾MMTだけでは単純にFHLやFDL,FDBなどの強さは測れない可能性がある
Associations between the size of individual plantar intrinsic and extrinsic
foot muscles and toe flexor strength)Yuki Kusagawa 2022
短指屈筋の機能
足に負荷がかかったときの
・衝撃吸収機能
・アーチの反動出力を高める
※私見 足底腱膜同様の機能を持っている
Flexor digitorum brevis utilizes elastic strain energy to contribute to both work generation and energy absorption at the foot)Ross E Smith 2022
母趾外転筋の機能
・内外方向のバランスを補助する
・内側縦アーチをサポートする
母趾外転筋の筋厚が大きいとバランスが上がる可能性が高い
Reliability and correlates of cross-sectional area of abductor hallucis and the medial belly of the flexor hallucis brevis measured by ultrasound)Penelope J Latey 2018
後足部内反ウェッジ(内側ヒールウェッジ)の効果
・足部を内反する
・舟状骨も内反運動を呈する可能性がある
→扁平足には有効な可能性がある
Kinematic Effect on the Navicular Bone with the Use of Rearfoot Varus Wedge)Álvaro Gómez Carrión 2022
長母趾屈筋腱(EHL)の損傷
・損傷は稀であり鋭利な刃物を足背に落とすなどで受傷
・状態が急性であれば縫合が可能
・慢性の場合は腱の収縮で断裂面が不整となりほぼ不可能
※私見 足背をケガして母趾の伸展が困難な場合はすぐに病院にかかろう
Reconstruction of a Neglected, Extensor Hallucis Longus Tendon Rupture Using Interposed Scar Tissue: A Case Report and Literature Review)Woo-Jong Kim 2021
足の形のタイプ別,特徴
・扁平足→歩行立脚期で床反力が内側に移動する
外反母趾,強剛母趾,後脛骨筋機能不全(PTTD)になりえる
・凹足→歩行立脚期で床反力が外側に移動する
槌指,鉤爪変形になりえる
Foot type biomechanics part 1: structure and function of the asymptomatic foot)Howard J Hillstrom 2013
脛骨神経の分岐部
●足根管(TT)内で脛骨神経の終末枝分岐する
内側足底神経(MPN)、外側足底神経(LPN)、内側踵骨神経(MCN)
●足根管は骨線維性のトンネルを形成し頻繁し絞扼性障害を引き起こすことがある
脛骨神経の分岐部の感覚支配
●MPNは足底内側、第1、第2、第3趾の隣接側面、第4趾の内側
●LPNの足裏の外側、第4趾の外側、小趾の隣接側面
●MCNはかかとパッドと踵骨の下面を覆う表層組織
●ICNは踵骨の前面
Variations in the branching pattern of tibial nerve in foot: a review of literature and relevant clinical anatomy)A Priya 2022
ショパール関節の機能
・ショパール関節複合体は中足部と後足部の間の関節である
・静的および動的に内側縦アーチを支持する
・ショパール関節の機能不全は進行性扁平足変形 (PCFD) につながる
ショパール関節の骨による支持
・ショパール関節複合体の関節腔は洞状で,この形状は立脚期へ移行する段階で足部に安定性を与える可能性がある
・立脚期に移行するときに後足部,中足部,前足部が順次硬くなり関節を安定させるのに役立つ可能性がある
ショパール関節の特徴
・ショパール関節複合体の外側部分は骨による支持が良好であるのに対し,内側部分は靭帯と腱による支持によって補強されている
・靭帯では主にバネ靭帯。腱では後脛骨筋,長趾屈筋,長母趾屈筋が支持サポートする
※私見 静的・動的両方の支持機構の属性がある
Revisiting the inferior supports of Chopart joint complex) Sunita A Athavale 2024
リスフラン関節の特徴
・第 1,第 2,,第 3 楔形骨と中足骨の関節は可動性がほとんどなく,安定性が高いのが特徴
・第 4,第 5 中足骨と立方骨で成す関節は可動性が高く,足を地面に順応させるのに必要
※私見です 前足部では4,5中足骨レベルの動きは大きくしておく必要がある
リスフラン関節損傷の特徴
・第 2 中足骨内側縁と第 2 楔形骨の内側縁の配置が不整でないか(まっすぐ)
・第 1 中足骨と第 2 中足骨の基部間の距離は2 mm を超える
・立方骨内側縁と第 4 中足骨内側縁の位置が不正
上記所見が見られると損傷している可能性がある
Lisfranc fracture-dislocations: current management)Inmaculada Moracia-Ochagavía 2019
リスフラン関節損傷の予後
損傷後に管理が遅れるとなり得る疾患
・進行性の中足部不安定性
・アーチ崩壊
・前足部外転
・慢性疼痛外傷後変形性関節症(OA)
上記リスクを減らすため早期発見し治療する必要がある
Lisfranc complex injuries management and treatment: current knowledge)Antonio Mascio 2022