肉離れの時期別アプローチと特徴まとめ
肉離れは「筋線維が部分的に断裂した状態」であり
出血 → 修復 → 再構築という流れで治癒する
この過程で大切なのは、時期に応じて目的を変えること
特に学生さんは週1程度しか通院できないことも多く
痛みがなくなったから通院しないなんてこともよくあります。これは修復が終わっただけ
大事なのは【修復後の再構築】
これが上手くいってないと再発リスクが高くなります
この時期の目的は「出血と炎症を最小限に抑えること」です。 まずは RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上) を徹底し、組織の損傷拡大を防ぎます。 痛みのない範囲で、足首や膝を軽く動かすポンピング運動を行うと、循環が保たれ、腫れの軽減にもつながります。 ただし、ストレッチやマッサージ、温熱療法はまだ禁止です。 早すぎる刺激は再出血やコラーゲンの乱れを起こすため注意が必要です。
② 増殖期(修復期:3日〜3週間)
この時期は、損傷部位で線維芽細胞がコラーゲンを作り始める時期です。 コラーゲンはまだ不安定で方向性がバラバラのため、軽い負荷や温熱刺激で代謝と血流を促すことが重要になります。
行うべきことは、
ホットパックや入浴などでの温熱療法
軽い有酸素運動(自転車やウォーキング)
アイソメトリック収縮(押し合いのような等尺性運動)
軽いストレッチ
などです。 ただし、痛みや張りが強く出る強度は避けること。過剰な負荷は再損傷を招きます。
この段階では、「コラーゲンを作らせながら、柔らかく育てる」ことがポイントです。
③ リモデリング期(再構築期:3週間〜2か月)
ここからは、再発予防のためのトレーニング期です。 コラーゲン線維は刺激を受けた方向に整列するため、**適度な伸張負荷(ストレッチ+エキセントリック運動)**が必要になります。
エキセントリック運動とは、筋肉を「伸ばされながら力を出す運動」で、例としては
・片脚デッドリフト
・スローなハムストリングカール
・下り坂歩行
などが挙げられます。
この段階でフォーム修正や体幹の安定性を再教育することで、筋線維が正しい方向に配列し、強度と柔軟性が回復します。 ただし、痛みを無視したトレーニングや急なスプリント復帰は再断裂につながるため、**「少し張る程度」**を目安に負荷を調整しましょう。
肉離れを起こしやすい人の特徴
肉離れは偶然ではなく、筋の状態や動作パターンの乱れが原因になることが多いです。 特に以下の特徴を持つ人は注意が必要です。
①筋肉の柔軟性が低い:ハムストリングやふくらはぎが硬いと、伸張時の耐性が低下。
②ウォームアップ不足:筋温が低い状態では粘弾性が落ち、急な伸張に耐えられない。
③筋力バランスの不均衡:大腿四頭筋が強く、ハムストリングが弱いなどのアンバランス。
④疲労の蓄積:試合終盤などで筋出力と神経制御が低下し、制動力が働かない。
⑤骨盤・体幹の不安定性:姿勢やフォームが崩れると、特定の筋に過剰な張力が集中する。
⑥再発例:前回の損傷部が瘢痕化しており、柔軟性・血流が低下している。
これらの組織の機能を改善していかないとまた離れますよ
まとめ
肉離れの回復は、
①急性期は「守る」(出血を抑える)
②修復期は「育てる」(コラーゲンと血流を促す)
③再構築期は「鍛える」(線維の配列と筋機能を整える)
この流れを意識することで、治癒の質が高まり、再発を防ぐことができます。 焦らず、適切な負荷で「コラーゲンを育てる」意識がポイントです。
痛みなくなって通院しない子供さんが再発するケースが多発しています。
どの時期に何をやったらいいかくらいは聞いてから復帰しましょう
肉離れで痛みがなくなっても安心できない理由
肉離れは「痛みが消えた=治癒」ではありません。 痛みが落ち着くのは**炎症期・修復期の終わり頃(約2〜3週)**ですが、 この時点ではまだ コラーゲン線維が未成熟で、バラバラな方向に走行している状態 です。
そのため、この段階で通院をやめてしまうと…
・線維が「硬く短く」治る(柔軟性低下)
・伸張方向の耐性が弱いままになる
・筋力・神経制御が戻らない
結果として、再発率が非常に高くなるのです。
リモデリング期に必要な負荷とは
リモデリング期(3週〜2か月)は、コラーゲン配列を整える大切な期間です。 この時期に行うべきは「適切な伸張負荷とエキセントリック運動」。
例:
・スローなヒールレイズ(下げる動作をゆっくり)
・軽いランジや片脚立位のバランストレーニング
・動作フォームの修正(走り出し・蹴り出し動作など)
これらを行うことで、 👉 コラーゲン線維が負荷方向に整列し、 👉 筋の強度・弾力性・再現性が回復します。
-
肉離れは「痛みがなくなってからが本当の治療の始まり」。
-
リモデリング期を飛ばすと、再発・硬さ・パフォーマンス低下のリスクが残る。
-
通院・リハビリは「痛みゼロ」でも続けることが、治癒の質を高める鍵。


コメント